ICME12報告
期日:2012年7月8日(日)〜15日(日) 開催地:大韓民国 ソウル特別市
『数学教室』2013年4月号から
世界に広がる数教協
韓国での国際会議(ICME12) 小林 道正 2012年7月8日から15日まで,韓国ソウルの国際会議場で,第12回数学教育国際会議が開かれ,数数協からは10名ほどが参加しました。この国際会 議の英語名はInternational Congress on Mathematica1 Educationですが,4年に一度,世界各地で開催されてきました。第1回は1969年にフランスで開かれ,以後,ドイツ,アメリカ,オーストラリ ア,ハンガリー,カナダ,スペイン,日本,デンマーク,メキシコ,そして今回の韓国で聞かれました。数教協の会員が参加し始めたのは,第3回のアメリカの バークレイでの会議からです。日本での開催は千葉県の幕張で,2000年7月31日から8月6日に開かれ,約2000人が参加しました。このとき,数教協 はホスト国の団体として共催団体に加わりそれなりの役割を果たしました。それ以後は7月中ごろに開催されるようになり,日本からの現職教師の参加が時期的 に難しくなってしまいました。諸外国ではこの時期に小学校から大学まで夏休みに入っているところがほとんどで,今回も約3600名の参加となりました。 ICMEの特徴として,現場の先生方もたくさん参加してはいるのですが,どちらかというと,大学で数学教育の指導を担当している先生方が多いということです。小中高の実践を交流研究するという視点が少し弱いところが残念です。 今回韓国での大会の大きな特徴の一つは,小学生,中学生,高校生が多数参加したということです。数学カーニバルと呼ばれたコーナーは,世界中のいろいろ な団体が教具を展示したり,実験等のデモンストレーションをしたり,生徒や先生相手の多様な形の授業を実施したりしたのです。こういう形態は数教協の会員 の皆さんが得意とするところですので,期間中ずっと,「数教協ブース」は常に人だかりでした。もちろんそのほかに分科会での発表,ポスターでの発表,授業 も何人か行い,好評を博しました。 期間中,韓国の方だちと仲良くなり,いろいろな情報を交換できました。その際役に立ったのが,数教協編集の『算数・数学なぜなぜ事典』や『算数・数学 なっとく事典』が韓国語に翻訳されていたことでした。その他にも,私の著書も3冊,韓国語に翻訳されていたので,「先生の本,韓国語で読みました」という 高校生が来たりして嬉しかったです。7月末に数教協創立60周年記念として出版された『算数・数学つまずき事典』の翻訳を,前の2冊を翻訳してくれた金先 生にお願いしてきました。数教協の紹介を英語で書いた私の分厚い本3冊は定価10000円もするのに早めに完売でした。 特に親しくなった一人は,小さな大学進学塾を開いている韓国の先生です。エクスカーションデイのプログラムがない日に一日中ソウル市内の我々が行きたい 所を案内してもらい,豪華な侵食をごちそうになり,お土産品のアドバイスをしてもらったり.塾へ行って生徒と交流させてもらったり……。 数数協参加者の内,6人は建国大学の学生寮に宿泊し,会場までは毎日地下鉄を利用して往復しました。夕食は毎日,大学の近くの「大衆食堂」で安くておいしい韓国料理をいただきました。最後の日におばさんが,「もう帰るの,また来てね]と言って涙ぐんでいました。 私たち数教協の実践もゆっくりではありますが.徐々に世界に広がっていると感じました。本当に楽しい韓国の大会でした。 立体パズル,ポスター発表
野町 直史 新企画で数学カーニバルという体験型の催しが開かれ,数学の広場で授業立体パズルを行いました。通訳した女子大生は日本語をテレビドラマを見て覚えたそ うです。彼女は私たちの実践に関心を持ち何度もブースを訪れてくれました。数教協の授業を通して十分に楽しさを伝えられたと思います。 ポスター発表の二日日はテーマごとに分かれて,5分間で実際に発表するスタイルでした。私は二次曲面,二次曲線の内容をモデルを使って説明しました。 ブースで何度も説明して準備しておいたのがとても役に立ちました。他の発表がテーマが抽象的なのに対し,モデルを使い具体的な内容でしたので,私のときだ け拍手が起こりました。 今回の会議は,韓国が数学カーニバルを重視していたことが大きいと思います。国別展示や,書籍・教具の販売などがこの中で行われ,韓国による見ごたえの ある数学教材,教具の展示はワークショップ形式で,作ったり,実験したりできるようになっていました。生徒が見に来る手はずも整えており,数数協として大 変活動のしがいのある会議でした。 数教協ブースのにぎわいや,具体的で楽しい数教協の授業は,強いインパクトを与えたのではないかと思います。とても疲れましたが,毎日の人との出会いが楽しく,疲れが吹き飛ぶ成果がありました。 塩の授業,ポスター展示
黒田 俊郎 私か参加したのは主に「数学カーニバル」の中の模擬授業とポスター展示の2つでした。 「模擬授業」は7月10日の11:00-12:00に授業をしました。高校生対象という話でしたが,実際には韓国の先生方が40名近くいらっしやいまし た。タイトルは「塩が教える幾何学」で,塩を使って三角形の内心・外心・傍心を求めることができ,また,双曲線・放物線・楕円を描くこともできるというこ とをお話しました。 終わってから「実験で使った箱の展開図がほしい」という方が多く,用意したものは全部なくなりました。嬉しいことです。 ポスターは1日日に用意して,大会期間中展示され,13日(金)の午後に説明する時間がありました。 私は「塩が数える幾何学」「コマを作る」「相似の教具」「四角形の中点を結んでできる平行四辺形」の4つを展示して説明しました。 ロシアから来られたMamiyさんという方からは,「この内容をロシアの高校生向きの数学雑誌に載せたい」と言われました。嬉しいことでした。 この大会では,「小中学生や高校生が数学に触れる良い機会にしよう」という韓国側の熱意を強く感じました。若い先生方や大学生の参加も多く,活気あふれる大会でした。 |
以下3人の方からの報告です。他に写真などはこちら。 収穫に溢れた扉の向こう
私のICME11報告
長谷川幹(京都)
(『数学教室』2008/12から)
●国際会議ビギナーでしたが“ブエナス樽です!” 私のPCの日本語変換ソフトは,現地から日本の友人に宛てたメールの最初の一文を見事に誤訳してくれました。もちろん「ブエナスタルデス!(こんにち は!)」と打ちたかったのですが。それほど,スペイン語圏のメキシコは私にとってなじみの薄い国だったのです。オリンピックとサボテンとテキーラ…,私の 理解はそれくらいでした。そんなメキシコでの会議に後述のような経過で参加できることになり,急遽駅前留学して身につけた怪しいスペイン語とこれまた乏し い英会話能力だけをひっさげて,7月6日からの全プログラムに突撃していったのでした。 TSGやDGと略されるいわゆる分科会へは幾何教育や論証を中心にあちこち渡り歩いてそれなりの成果を得たつもりです。が,会議の公用語は英語。何とか なるだろうと予習もせずに出た初日の分科会では完全に討ち死に状態。やはりその分科会に頻出する基本的な単語は予習しておく必要を痛感。提出された論文の サマリーがICMEのサイトから辿れることを小田切先生に教えてもらい,夜は学生に戻った気分で辞書を引き引き勉強も強いられたのですが。でもこんなに集 中して真面目に勉強したのも久しぶりでした。 でも,公式の会議や講演の合間のコーヒーブレイク等に立食式の小さなテーブルを囲んで交わされる参加者同士の挨拶は“Hello”ではありまん。 “Where are you from?”─これが初対面の挨拶。ここからお互いの国の教育事情や数学の話が始まっていきます。私一人だけでもアメリカやイギリス,オーストラリアと いった大きな国からアルジェリア,カンボジア,ギリシャ,トルコ,…おそらく20カ国以上の国の方たちと会話したでしょうか。こういった非公式の場でのコ ミュニケーションでも多くの収穫がありました。なかでも,小学校の先生に出会うたびに意識的に足し算や引き算の指導をどうしているのかを尋ねてみたのです が,十進法の理解や筆算や暗算なども含めて,水道方式のようなタイルのシェーマを用いて指導しているという人には出会えませんでした。 こちらから図を書いて説明をしてみると興味津々。それは「ナイスな方法だ!」とか「初めて知った」とか喜んでもらえて先達の皆様の成果にもかかわらず,なかなか嬉しい目に遭わせてもらえました。 他にも急遽現地で交渉して割り当ててもらった一枚のついたてに“π is a music!?”と大書して貼り出し,その前のスペースを基地に色々な国,色々な職種の方とお話が出来ました。東数協の足立久美子先生や碇邦子先生は,こ のスペースで螺旋の折り紙を披露。いつの間にか学生たちが集まってミニ講習会が始まっていたり,楽しいひとときも。 ICMEには以前から強い関心は持っていたものの,第9回の東京大会ですら校務と日程の関係で最初からあきらめ参加せず,当然コペンハーゲンもスルー。 だから今回も…と思っていたのです。が,教員生活20ン年。40代にもいよいよ別れを告げる時が近づいた今年.あと1O年余りしかない教員生活を前に,残 る3回のチャンスを逃してなるかと,ダメで元々,学校長に参加の意志を告白。「こんなすごい国際会議がある」と会議についてあること無いこと語ってみたら 「是非参加してこい」という話になり,逆に驚いてしまいました。 でも,現地ではほとんど日本人に会いませんでした。デンマークからの参加者は「私の国からは30人来た」と語っていましたが,彼の国の人口は40O万 人。日本の人口がその30倍とすると日本からは900人ぐらい参加しても良い勘定(…でしょ?)ですから,本当に寂しい限りです。 次回はお隣の韓国。とはいえこれまで同様参加しにくい時期ですが,全国の数教協の皆さん!ひるまずあきらめず参加条件を創り出して大挙参加し,世界に学ぶと同時に,私たちの実践と研究の成果を全世界に轟かせてきたいですね。 ICME11参加報告
小田切忠人(沖縄)
(『数学教室』2008/10から)
7月6日受け付けに始まり7日の開会式から13円の閉会式までの約一週間にわたって,数学教育国際会議ICME11がメキシコ国モンテレイ市
(Monterrey)ヌエヴォレオン州立大学を会場に開催された。その内容は,トピック・スタディ・グループ(TSG)とディスカッション・グループ
(DG)と呼ばれる分科会やいくつものレクチャー等であった。「等」と省略した企画も含めて一つひとつについてはhttp://icme11.org/,
または今後出版される報告書(Proceedings)(ちなみに,ICME11が開催中の9月,ICME10の報告書が出来上がったという連絡が入っ
た。)を参照していただくほかない。全体的な構成は,10日に行われた遠足も含めて,これまでのICMEを踏襲したものであった。大会参加者は1800余名で,参加者数はこれまでのICMEの参加者数よりは少なかった。ICMEがラテン・アメリカで初めて開催されたことの意義を, 開会式でも閉会式でも強調していた。ラテン・アメリカあげて準備を進めてきたことは,これらの国々からの参加者・報告者が比較的多かったことからもうかが えた。今回は開発途上国も先進国と対等に役割を果たすことを演出したと思う。具体的な数では確認してないが,参加者の動向として,開発途上国からの参加者 が相対的に増えたという印象を持った。 筆者は分科会ではTSG7とDG20に参加した。TSG7は,「スペシャル・ニ一ズのある子どもたちに対する教育プログラムと実践」 (Activities and Programs for Students with Special Needs)についての分科会であった。4タイム・スロットで,事前に準備された13の論文と実践発表1の,計14の口頭発表が行われた。発表と若干の質 疑が大半であったが,最後のスロットでディスカッションの時間がとられ,スペシャル・ニ一ズはどう意義できるのか、どう定義すべきなのかという問について 意見を交わしたICME11全体のキーワードでもあったEquity and Quality of Education,AMI流に言えば「すべての子どもに質の高い数学を」という視点に基づく論であること,それからスペシャル・ニ一ズを定義することと スペシャル・ニ一ズがあるかどうかを決定することとは区別して論じる必要があること,心理学的あるいは医学的な情報は一人ひとりのこどもについてスペシャ ル・ニ一ズがあるかどうかを決定するときに必要ではあるが,スペシャル・ニ一ズはそれらによって定義することはできない教育学的な概念であることが確認で きたのではないかと思う。 ちなみに,インクルージョンが世界的な規模で進められている現状も報告され,その実態についての批判的な評価が多数であったことを付け加えておく。 DG20は,「初等数学教育における今日的諸課題」(Current Problems and Challenges in Primary Mathematics Education)をテーマにする分科会であった。開発途上国の初等学校における数学教育事情を垣間見ることができた。全体としてディスカッション中心 で進められ,このDGは,発表者は話題提供者であり,各話題提供者が提示した課題にアドバイスを返すことを目標に小グループ討論と全体討論を繰り返す形で 進められた。当然,各国の初等教育の制度や実態は異なっていることが前提にされての議論であった。 ディスカッションの全体を通しての小学校における数学(算数)教師の専門性について意見が交わされた。マルかペケではなく,子ども一人ひとりの考えを柔 軟に評価することが小学校教師には求められていることを,開発途上国からの参加者も当然のように語っていることに,正直少し驚いた。筆者は,かけ算九九を 覚え切れなかった小学1年生のエピソード,つまり九の段を,例えば,9×8=《9x(11−8)》=《9×3》=《27》=72(《》は,一の位の数と十 の位の数を人れ替える関数)という法則があると発表した子どもの話を紹介し,マルかペケではなければ,何点を付けるかと投げかけてみた。 これは意地悪であったかもしれない。関連して,Conceptual Understanding,つまり「わかる」ことが大切で,子どもたちの知的活動も創造的で多様であることは誰もが認めるだろう。問題は,それを柔軟に 評価できる,算数を教える小学校教師の専門性は何によって,言い換えればどんな学問的訓練によって担保されるのかということである。 最後に,ICME11で言及されたキーワードをもう一つ紹介しておきたい。それは,Diversityである。これが意味するところは,スペ シャル・ニ一ズをも含めて子どもたちの教育要求の,増大する多様化にどう応えていくかが教育現場で課題になっているということである。 インターネットで見るICME11
吉田一(千葉)
(『数学教室』2009/02から)
本誌10月号,12月号と2回にわたって,ICME11の参加者である小田切さんと長谷川さんのお二人に報告していただきました。今回は,その後の公式発表やインターネットで公開されているコンテンツなどからお伝えします。ICME11の公式サイトは会議プログラムについての事前の記載は充実したものでした。しかし,会議後の更新はほとんどされていないようです。前回 ICME10の公式サイトでは,大会終了後には参加者数などのデータや会場の写真等が公開されていて,後からも役立つものだったことに比べると残念です。 また,インターネットで検索をかけると参加者の方々の個人ブログなどでも報告が見つかります。 ◆ICMI Newsletterより 主催者による報告はICMI(国際数学教育委員会)発行の「ICMI Newsletter2008年9月号」にあります。このNewsletterは隔月発行で,ICMIのサイトで閲覧できます(ICMIには同名の別団体があるので,検索には注意)。 なぜか全体の参加者数の記載は見つかりません(10月号小田切さんの報告では1800余名)。20名以上の参加者があった22か国のリストが示されています。トップはアメリカの412名,開催国のメキシコは164名で2位,日本の参加者は73名(前回は87名)です。 開催国メキシコを含むラテンアメリカ諸国からの参加者は16か国392名(前回は72名)で,スペイン語での特別行事などが好評であったという一方,非 英語圏の人々にとって(われわれも!)英語での討論が難しいことの指摘もされています。ホジソン氏の講演はスライドの記載もスピーチも多言語で行われたと のことですが,これはなかなかできることではありませんね。 参加者の感想もあります。第1回ICME1からの連続参加者は2名いるそうで,そのひとりのベッカー氏(アメリカ),今回の受賞者であるキルパトリック 氏(アメリカ〕とダンブローシオ氏(ブラジル),そして今同ICME初参加の2名の計5名の感想です(名前を挙げた4名は数学教育界の著名人〕数教協大会 では参加者の感想発表はよく行われますが,ICMEではこのような感想が公開されたことはなかったように思います。なお,会議の内容についての報告は後日 議事録(Proceeding)が発行されます. ◆セリア・ホイルズ氏の講演 テクノロジーの進歩によりICMEの講演をインターネットで視聴できるようになりました。セリア・ホイルズ(Celia Hoyles)氏は2003年の第1回フロイデンタール賞を受賞されたイギリスの方です(本稿No639/05年2月号で紹介)。彼女のICME11での 企体講演“Technology and mathematics education”のすべてを動画形式で見ることができます。 これはICME主催者とは関係なく,ホイルズ氏自身が役員を務めるイギリスの数学教育団体NationaI Centre for Excellence in the Teaching of Mathematicsのサイト(“NCETM”で検索)で公開されているものです。無料でユーザ登録の必要もありません。トップページからはたどりにく いので,“Celia Hoyles ICME11’などで検索するとよいでしょう。 聞き取るのはなかなか大変ですが,要点を書いたスライドも映りますし,何度でも繰り返して視聴できるので便利です。今回参加できなかった私も,ちょっとだけ参加気分になれました。 ◆ICME12およびEARCOME5に向けて すでにお知らせしたように,2012年の次回ICME12は韓国ソウルで開催されます。 予告案内パンフレットは韓国のサイトに用意されています。“ICME12-brochure”で検索してみてください。 また,ICMEl2に先立ち,2010年夏には第5回東アジア地区数学教育国際会議(EARCOME5)が日本で開催されることになっています。 2000年のICME9のときと同様,数学・数学教育関係団体が連携して準備にあたる計画です。われわれ数教協もホスト国としての役割を担うことになりま す。続報をお待ちください。 |
詳細は http://www.ne.jp/asahi/math.edu/ami/icme/icme10.ht
ICME-10公式Webサイトは http://www.icme-10.dk/
第10回数学教育国際会議(ICME-10)は2004年7月4日〜11日,デンマークのコペンハーゲン郊外にあるDenmark
Technical
University(DTU)で開催されました。公式Webサイトで発表されている全体の参加者数,国・地域数の統計は次の表の通りです。ただし,表の
国別の数字と合計の数字には一部分不整合がありました。
ICME-10/2004年 デンマーク | ICME-9/2000年日 本 | ICME-8/1996年ス ペイン | |
参加者総数 | 2161 |
2074 |
2762 |
日本からの参加者数 | 87 |
945 |
110 |
国・地域数 | 87 |
74 |
76 |
AMI会員の参加は,浅沼一志,小田切忠人,種帰建夫,西山豊,吉田一の5名でした。やはり1学期末で参加は難しかったようで,24年前に逆戻り
したような状況でした。しかし,前々回ICME-8と比べての日本の参加者23名減は,ちようどAMIの参加者分が減った程度なので,日本の他団体はそれ
ほど減ってはいなかったようです。それでも日数教の方の話によると,日数教から学校長に教員の出張参加を依頼したけれど,ほとんどが断られたそうです。
「国際化」は教員の研修にも必要なのに。
会場のDTUは宿舎のコペンハーゲン市中心部から電車とバスを乗り継いで約40分,広大な敷地に低層の校舎が分散しています。市内はほとんど英語
で用が足ります。会期中の天気は,晴れ突然雨,気温は15℃前後でした。街中の人々の服装は半袖Tシャツと冬のコートが混在していました。
今回のプログラムの特徴をあげます。
(1)分科会が整理されました。TSG(Topic Study Group)とDG(Discussion
Group)の役割区分がはっきりしたようです。しかし「テーマの午後」はDG,TSGと重なる内容もあり,意図がいまひとつはっきりしないようです。
(2)ポスター形式の発表が増加しました。ポスターには次の3種類がありました。
a:事前審査ありで,関連したテーマの数本を一緒にラウンドテーブル(RT)形式で討議する。
b:事前審査ありで,張り出すだけ。
C:事前審査なし(簡単なチェックのみ)で,開会1か月前まで申し込み可能。
また,TSG,DGでもポスター形式の発表がありました。われわれ非英語圏の参加者にとって,ポスターは図表・写真など文字情報以外での表現を活かせる
手段です。しかし,その審査が150語以内の文字のみで提出するという方法では,その利点が活かせません。また,コンピュータ,ビデオによる発表がなく
なってしまったのは残念です。
(3)一般市民参加のワークショップである「数学サーカス」が行われました。前回の幕張でも同様のプログラムがありましたが,今回も小規模ながら継続され
ました。
(4)ICME初参加者で希望者にアドバイザーが付き,参加分科会などを一緒に考えるという試みがありました。
AMI会員の発表は次の通りでした。
・西山:数学サーカスでブーメランの指導。予定していたTSGは不参加。
・小田切:TSG16(視覚化)口頭発表。TSG8(数と計算)Web発表。ポスター(RTあり)1点。
・浅沼:ポスター(RTあり)1点。
・吉田1ポスター(RTあり)1点,ポスター(審査なし)1点。
われわれの間では約半年前から,電子メールでの情報交換をたびたび行っていました。人数が少ないため,現地で他の人の手伝いをするまではなか
なか困難でした。
会期中「ICME速報」のホームページを一作成し,ほとんど毎日,少しずつでしたが更新していました。いまでも数教協常任幹事会のぺ一ジからのリンクで
見られます。写真も入っています。
「幕張は良かった」という話を何人からも言われました。運営を担当した一員としてうれしいことです。
前回のICMEの後,AMI大会へ参加いただいたセンドレイさんに再会しました。「とても楽しい大会でした。AMIのみなさんによろしく」というメッ
セージをいただきました。
次回ICME-11は,メキシコ東北部の都市モンテレーに決まりました。
会期は2008年7月6日〜13日。また1学期末の時期になってしまいました。
なお,他の参加者からの発表内容の報告も追って掲載される予定です。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
第9回数学教育世界会議(ICME-9)終了
日時:2000年7月31日(月)〜8日6日(日)
場所:千葉県幕張メッセ他
ICME9は、約80カ国2000人の参加で、無事終了しました。 数教協関係の参加者も当初目標とした参加予定人数を大きく超えました。ご協力ありがとうございました。 ICME9の概要報告は近日中にこのページでもおこなう予定です。 なお、次のICME10は、2004年7月4日から、デンマークのコペンハーゲンで開催されるという発表がありました。 |
特別募金は3年間にわたる皆様方のご協力のおかげで、平成12年7月中旬現在までに、1505名の方々が応募してくださり、金額は
3,850万円に達しました。皆様のご熱意、ご協力に深く感謝いたしております。 第9回数学教育世界会議
特別募金は平成12年8月31日まで募集をいたしております。よろしくお願いいたします。 国内組織委員会 特別募金委員会 (故)大竹 登 大和 澄夫 風間喜美恵 時永 晃 深瀬 幹雄 増田 幹夫 山田 光夫 <連絡先> 〒112-8691 東京小石川郵便局私書箱18号 社団法人日本数学教育学会 気付 第9回数学教育世界会議 国内組織委員会特別募金係 <募金方法> 郵便振替払込用紙で振り込んで下さい. 振替用紙にはご自宅の電話番号を必ずご記入下さい。 口座番号:00120-4-361641 加入者名:第9回数学教育世界会議特別募金
|
|
事務局 |
|
|
会則 |
|
大会 |
|
|
|
集会情報 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|